英語4技能試験について

 

・英語4技能とはなにか

受験生にとっては「耳にタコ」かもしれませんが、改めて英語4技能とは何かというお話からさせていただきます。

英語4技能とは、英語の「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」という4つのスキルを表しています。最近ではこの英語4技能試験が教育現場、すなわち受験などでも重要視されています。

 

 

・英語4技能が求められている理由

この英語4技能が求められる理由として「国内外のグローバル化に備えるため」ということが考えられます。最近では、道を歩いていても外国の方を見かける機会は多くなってきましたし、日本に「観光」に訪れる外国人の数は年々上昇しています。

また2020年には東京オリンピックも控え、今後この英語4技能=コミュニケーションを重視した英語の需要はますます高まっていっています。文部科学省も2020年東京オリンピックの年を、ターゲットイヤーと定め、コミュニケーションを重視した英語教育にシフトしました。

 

・大学入試制度の改革

文部科学省がコミュニケーションを重視した英語にシフトしたために、大学入試の英語も大きく改革が行われることとなりました。

2020年度よりセンター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」では英語試験と併存して外部英語検定試験の活用が決定しました。今までのセンター試験では、ペーパーテストのためにどうしても「読む・聞く」が中心になっていましたが、これからはそのほかの「話す・書く」というところも重要視されることになります。その、「話す・書く」を重要視するために使われるのが外部英語検定試験です。

 

・各試験の紹介

(TOEIC、GTEC、ケンブリッジ英検、TEAPなど)

外部英語検定試験は、実はとてもたくさんあります。

 

まず種類をご説明する前に「CEFR(セファール)」という指標をご紹介します。CEFRは、主に欧米において普及している外国語のコミュニケーション能力を測る指標です。基礎段階のA1から、最高レベルのC2まで、6つのレベルが設けられています。
大学入試での検定試験の活用では、異なる試験の結果を共通の基準で見るために、このCEFRが用いられる予定です。

 

では、外部英語検定にはどんな試験があるのでしょうか。一般的にはTOEICがよく知られています。TOEICは主にアジア圏で活用されていますが、実はTOEICで測れるのは「読む・聞く」が中心です。そのため4技能を正確に測るためには、「TOEIC S&W」を受験しなくてはなりません。

 

もう一つ、受験生の皆さんなら一度は聞いたことがあるGTEC。ベネッセコーポレーションとベルリッツが提供するスコア型の英語技能検定です。英語4技能を図る試験として、GTEC CBTが展開されています。

試験は、リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングのまさに英語4技能で構成されています。

 

そのほかにも、ケンブリッジ英検 通称(IELTS)なども有名です。

IELTSは、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュカウンシル、IDP Educationが運営する英語検定試験です。

オーストラリア・ニュージーランド・カナダへ移民する必要条件の一つとしても採用されています。

 

また2014年に初めて実施されたTEAPという試験もあります。

TEAPは上智大学と公益財団法人日本英語検定協会が共同開発した試験です。大学で必要とされるアカデミックな英語能力を判定することを目的につくられています。

 

ほかにも、英検などがあります。外部英語検定試験は、この制度改革により大変な注目を集めています。

 

・自分に合う試験を選ぶ方法

たくさんあるとどの試験を受けるべきか迷ってしまいますが、「現時点での志望校の意向」を確認するのが最もよいでしょう。志望校が認めない試験を一生懸命受けても全く意味のない努力になってしまいますから、志望校の入試要項を確認し、どの外部英語検定試験を取り入れているかを確認しましょう。

まだ志望校が確定していない場合は、「試験の受けやすさ」で決めてもいいかもしれません。

受験料も試験によって大きく異なりますし、年間実施回数や受けられる会場も違います。

自分の状況を鑑み一番受けやすい試験をうけるのも一つの方法です。

また「問題の難しさ」で選ぶことも1つの方法です。

例えばTOEICでは、難易度に幅があり取得した点数によって判断されます。一方英検では、難易度は決まっておりその難易度をクリアすることで合格となります。試験をうけたときにTOEICと英検でおなじCEFRレベルを獲得したとしても、TOEICのほうが難しかったと感じるかもしれません。

この問題が解けたと感じるかどうかでその後のモチベーションも左右されますから、そういった意味では試験の難しさやご自身の性格も考慮しましょう。

「解けた」という認識が残っている方が、最後まで試験のモチベーションや自信になるケースもあるでしょうし、逆に難しい問題があったからもっと頑張ろうというモチベーションになる方もいます。ご自身の性格を加味して、受ける試験を決めてもいいかもしれませんね。

 

ちなみに試験の難しさは、資格試験の測定範囲をみるとわかります。測定範囲が広ければ広範囲に難しいものから簡単なものまで出題されると推測でき、測定範囲が狭ければある特定のレベルの問題が出題されると判断することができます。

 

また回答方式で選ぶのもおすすめです。マークシート方式もあれば記述式もありますし、パソコンでの回答の場合もあります。

たとえば、パソコン作業に慣れていない人がパソコンで回答する試験を受けた場合、パソコン作業のほうに気を取られて本来の力が発揮できない可能性がありますよね。逆に手書きは苦手・・・という方もいますから、「回答方式が自分に合っているか」も確認のポイントといえるでしょう。

 

また日本の英語教育は、アメリカ英語が主体となっています。

イギリスへの留学経験があるなどの場合を除いて、イギリス英語が試験になっているIELTSや、ケンブリッジ英検を選ぶ場合は注意が必要です。なおTOEICでは、アメリカ英語とイギリス英語どちらも使用して英語の理解力を図っています。

 

そのほかにも、国語力(読解力)を問うような試験が出題されるケースもあります。例えばTEAPやIELTSなどは、統計データを読むような問題も出題されます。

そのような読解力に自信のない人は、単純な問題の多い試験を選ぶというのも一つの方法です。

 

国公立大学、早慶上智、GMARCH、関関同立の2018年度入試、2019年度入試での活用

2020年に向け、各大学もこの外部英語検定試験の活用を始めました。

国公立大学では、2018年度多くの大学が加点または得点換算を行いました。例えば、得点換算を行っているのは秋田大学・千葉大学・埼玉大学・東京芸術大学など。加点も千葉大学や大阪教育大学、山口大学でもおこなわれています。

私立大学でも、慶応義塾大学・早稲田大学の一部の学部では加点を取り入れ、上智大学では出願資格として認めました。そのほか、GMARCH・関関同立では多くの学校が出願資格として認める、加点とする、得点換算するなどの対応をとっています。

2019年度入試ではより多くの学校が外部英語検定試験の活用をはじめることが発表されており、各々の受験要項で外部英語検定試験の活用が発表されています。

例えば、2019年明治大学では、スコアに応じて英語の試験が免除になるだけでなく、より良い得点を取得した場合には、ほかの科目の点数に加点するという対応がとられることになりました。また早稲田大学でも、昨年よりもより多くの外部英語検定試験を対象にするなど、より外部英語検定試験の間口がひろがっており、今後ますますこの傾向は強まっていくと思われます。

 

 

この外部英語検定試験の活用は、ガラパゴス化した日本の英語教育をより海外に近づけることになります。日本のように文法を出題する国は多くなく、コミュニケーションを重視する国のほうが現在は多くなっています。日本もようやく他国にならい、コミュニケーションを重視した英語教育に転換するのは素晴らしいことといえるでしょう。

学生の皆さんにとっても、これから使える英語を学ぶことは社会に出た時にも大学でも、とても役に立つことと思っています。

 

また、受験生にとっては当日の一発勝負ではなく、3年間の努力が認められる非常に素晴らしい制度のように思えます。実際にセンター試験当日に体調を崩す受験生もいますから、3年間のうちに、外部英語検定試験を受けておくことができるのは非常に良い変化です。

 

しかし、実はこの外部英語検定試験の活用はよいことばかりではありません。

 

それはこの「外部英語検定試験の公平性」に疑問が残るからです。

外部英語検定試験については、受験料があります。経済的にこの受験料を払うことが困難な学生にとって、この制度が不利になることは間違いありません。なお、経済的に受験料を払うことが困難な学生の救済措置については現在検討中ということで、2018年度の試験の時には救済措置などはありませんでした。

 

そのほかにも、地域格差の問題もあります。現在、全都道府県で実施されている外部英語検定試験は「英検・GTEC・TEAP」のみです。そのほかの、外部英語検定試験については、残念ながら全国どこでも受けられる体制はまだ整っていません。そのために、離島に住む学生や交通の便の悪い地域に住む学生は、都心部の学生に比べ交通費もかかり移動距離もながくなりますから、圧倒的に不利で公平ではありません。受験機会が都心の学生よりも少なくなってしまうことが予想されます。

 

こうした、公平性に欠けるという実態を加味して、東大ではこの外部英語検定試験を活用しないという方針を打ち出しました。日本のトップの国公立大学がその方針を打ち出したわけですから、これは非常に大きな問題です。

国立大学協会では活用はするものの、その配点割合を1割弱に抑える案が出されており、この外部英語検定試験の活用について課題はまだまだあるでしょう。

 

例えそうだとしても、受験生はこの外部英語検定試験の制度を活用していくほかありません。

受験生は、「自分の志望校がどういう方針を打ち出しているか」ということを十分に確認し、メリットがあると理解したうえでこの勉強に取り組むことが重要です。

また地方の学生であっても、英検などは受けることができます。

大学側でも、より多くの生徒が受けられる試験を外部英語検定試験活用の材料とすると思いますから、ぜひあきらめず自分のできる外部英語検定試験にチャレンジしていただきたいと思います。

 

もし今このブログを読んでいる方が、高校1年生、2年生であれば今が外部英語検定試験を受けるチャンスです。志望校はまだ固まっていないかもしれませんが、その場合は最も多く使われている外部英語検定試験を調べてみて、ぜひチャレンジしてみてください。