反復の重要性

 

受験といえば、応用力ももちろんながら、歴史・公式などの「記憶」も大切です。
しかし、実は人間がどの程度記憶できるのか、その記憶はどうやって取り出されているのかまだまだ謎なことが多いのです。

ここでは、今わかっているところの中からどうやって覚えるかに焦点をあててご紹介していきたいと思います。

 

反復することの重要性

 
脳の中で記憶をつかさどるのは、大脳皮質です。

ここで長期の記憶が作られます。
ただ、得た情報のすべてが大脳皮質に送られるのではなく、

海馬という短期記憶をつかさどる脳の一部が必要と判断した情報のみが大脳皮質に送られます。
海馬が大脳皮質に送る情報は、「生きるのに必要か」という判断を元に振り分けられています。

となると・・・受験勉強の情報を海馬から大脳皮質に送るのは難しいですよね。

ですが、ご安心ください。
実は海馬は「繰り返し与えられた情報」も「生きるのに必要」と判断して勘違いしてくれるのです。

この勘違いを起こさない手はありませんね。

 

忘れるメカニズム

 
エビングハウスの忘却曲線をご存知でしょうか。
人間はなんと、たった20分で42パーセントの情報を忘れてしまい、1日後には74パーセントもの情報を忘れてしまうのです。
しかし、人間はこれを繰り返しインプットすることによってどんどん記憶が定着するということも、エビングハウスの忘却曲線で明らかにされています。
そもそも先にご紹介した通り、人間は生きるのに必要な情報以外は忘れるようになっています。

なので、忘れてしまったことを悲観する必要はありません。

忘れてしまったことは繰り返し与え「生きるのに必要な情報」であると勘違いさせることを心がければよいだけです。
 

何回反復したらいいの?

 
では、この勘違いを起こすために必要な反復の回数は何回でしょうか。
反復の回数は、だいたい6回が目安です。
え~6回も!?と思われるかもしれませんが、

覚えているか忘れているかにかかわらずさっと6回やればいいのです。

時間をかける必要はありません。

まずは6回、6回目に覚えられなかったものはもう一回というように、反復しつつ効率化も目指していくことが大切です。
しかし1日で覚えられたからと言って、その後復習しなければやはり人間は忘れてしまいます。
なので、覚えた!と思ってから10分後・1日後・1週間後・1か月後、4回のタイミングで思い出す作業を行ってください。

そうすることで記憶が定着し、記憶を引き出すことが習慣化されます。
実は、問題集もたくさん多くの問題を解けばいいというものでもなく、1つの問題集を完璧になるまでやりこなす方が、記憶が定着するといわれているのです。
参考書ジプシーにならず、

問題集を解く→別の科目の問題集を解く→同じ問題集を解く

というように、一度信頼した問題集を繰り返し、完璧になるまで続けることが記憶の定着に役立ちます。
 

反復を意識するために便利なツール

 
最も古典的で、反復に適しているのは「カード」でしょう。
最近では携帯のアプリでも反復学習を助けてくれるようなカードなどもありますから、ゲーム感覚で反復学習を行ってもよいかもしれません。
ですが、どの単語が今復習のタイミングなのか確認をするのは実はとても難しいです。

そんななか、画期的なアプリが開発されました。「Anki」という携帯アプリです。
「Anki」はパソコンとも相性がいいので、項目が多くなってもパソコンから登録ができるので、非常に便利です。
しかもテキストだけでなく、音声も画像も暗記の対象にできます。

これは非常にありがたいですね。

またカスタマイズも容易にできるので、フォントの大きさや反復期間の設定など自分好みにカスタマイズできます。

しかし「Anki」が最も優れているのは、単語ごとに異なる理想的な復習のタイミングを教えてくれるということです。

例えば英単語であれば、単語を見て頭の中で正解となる和訳を思い浮かべます。

正解したら、「2年簡単」、誤っていたら「10分もう一度」をタッチして次の単語に行きます。

ちなみに、2年簡単を選んだ場合は、「Anki」が次は2年後に覚えているか聞きます、

という意味で、「Anki」が十分に記憶に定着していると判断しているので反復がずっと先になっているということです。

自分自身が、まだ難しいと判断していれば反復時期をあえて短めにするのも可能です。

次の反復するためには「やることを絞る」につながってきます。

受験生は、2年後では長すぎるのでカスタマイズしてもう少し短く設定するとよいでしょう。

とても便利な「Anki」ですが、人には向き・不向きがあるので、もう一つアプリを紹介しましょう。
それが「reminDO」というアプリです。
このアプリの開発者も、「エビングハウスの忘却曲線」を参考に、いつ復習すべきかの感覚を思い出させるアプリを作りました。

TODOリストに近い形で、復習すべき項目があがってくるので、

ユーザーは、TODOリストを片付けるのと同じ感覚で、効果的な学習をすることができるようになっているのです。
こちらは、できる機能は多くありませんがシンプルに反復学習を行うことができます。
 

反復するためには「やることを絞る」必要がある

 
すべての情報を、6回繰り返し、思い出す必要は実はありません。
簡単に覚えられるものもあるのです。

きっかけは、インパクトが強かったり耳なじみがよかったり、とにかくよく思い出せるものがあります。
なので、2回目以降は忘れていたものだけ反復する、最後1か月後のチェックのみもう一度全部やってみる、とするとすべてのことを、反復する必要がなくなり効率がよくなります。

先に紹介した「Anki」はこのシステムを活用することのできる携帯アプリだといえるでしょう。
 

反復より良い?インターリーブとは何か

 
実は、今まで反復学習がよいと書き続けましたが、反復よりも効果が高いといわれる「インターリープ」という学習法があります。

インターリーブとは途中にほかのものを差し込む学習法ですが、その方法が「効率が良い」と発見した2つの実験があります。

1つ目にご紹介するのは、反復以外にも方法があるかもしれない、という可能性を見出したのはオタワ大学の2人が行った実験です。
実験は、近所のスポーツジムが開校する運動コースに登録した36人の子供を被験者とし、2グループに分けて行ったものです。
まず2グループの子供たちは、お手玉をもって膝立ちになり、アイマスクを装着して、数メートル先の床に書いてある的を狙ってお手玉を投げました。
投げ終えたらお手玉の位置を確認し、もう一度投げてもらいました。

1回目の挑戦では、両グループとも好成績でスキルに明らかな差はありませんでした。
その後、子供たちに練習をさせました。
Aグループは1メートル先に的を用意してそれに向かって投げる練習を、

Bグループは60センチ離れた的と120センチ離れた的を用意しました。

練習後A/Bグループどちらにも最終実技として、1メートル先に離れた的にお手玉を投げるテストをしました。

結果はどうなったとおもいますか。
普通はテスト環境と同じ状況で練習ができたAが有利と思いますが、実は、両グループに大きな違いは見られなかったのです。

これは、別の年齢のグループでも試され、同様の結果を得たことから「変化を取り入れた練習が運動スキーマ(1つのまとまりとしての運動の記憶)の初期形成を促進すると思われる」と結論付けました。

もう一つインターリーブの説明をするのに行われた実験をご紹介します。
2006年、ロバート・ビョークは、ネイト・コーネルとともに、途中で邪魔が入っての学習が記憶の保持、美的判断に影響を及ぼすかを実験しました。
まず、12人の風景画家による絵画を用意しました。この12人の画家のうち、有名な画家はほとんどおらず、ほとんどが無名の画家としました。

二人は72名の学生に、コンピュータ上の絵画を覚えるように、と告げました。
そのうち半分の学生は、一度にすべての絵を勉強し、1作品につき3秒・絵の下の作者の名前が併記されました。

同じ作者の絵をまとめて表示したことから、コーネルとビョークはこれをブロック学習と名付けました。

残りの半分の学生は、絵を見る時間と絵の下に作者の名前がでるのは同じでしたが、作者別ではなく、ランダムに表示しました。

そうして、両グループは計72作品を鑑賞しました。
それから、両グループに別の課題を与え、この問題から注意をそらした後、テストを行いました。

同じ画家の別の作品について、どの画家が描いたのか答えるテストです。

見たことのない絵ですが、画家のタッチを覚えているかテストを行ったのです。

結果は、どちらが良かったと思いますか。

これまでの学習方法からブロック学習の学生たちのほうが良い成績を収めるであろうと考えられていましたが、

実はランダムに表示したグループのほうが、10パーセント近く正答率が高かったのです。

二人は再び同じ実験を行い、同様の結果を得たことから「別の画家の絵を間に差し込む方が、同じ画家の作品を継続して見せるより効果的だ」と結論付けました。

前置きが長くなってしまいましたが、この「差し込む」という行為こそがインターリーブといわれる学習法です。
たとえば、音楽の時間に「歌う」「演奏する」「理論の勉強」を交互に行う、スポーツコーチが「持久力に関するトレーニング」「筋力アップのトレーニング」を交互に行うなどもこのインターリーブに入ります。
これらは今まで個人の経験や同じところに負荷をかけないなど感覚に基づいて行われていましたが、実は、効果的な学習法であったことが2つの実験によって証明されたのです。

しかし驚くべきことに、この実験には続きがあります。

学習した生徒たちにどちらの方法がより好ましかったかアンケートを実施したところ、インターリーブの学習法よりもブロック学習のほうが多くの学生には好まれました。
学生たちは長い経験から、1つのことを継続して行ったほうがいいという思い込みがあったのではないか、と考えられます。

みなさんも同じではないでしょうか。

そういえば、リビング学習をしている子供のほうが、学習効果が高いというのを聞いたことがあります。

また、受験勉強のおともにラジオを聴いている人もいるのではないでしょうか。

リビングで家族の邪魔(と言ったら失礼ですが…)が入ったりラジオに少し聞き入ってしまったり、無意識に気が散ることが少しあるほうが、学習効果が定着するのかもしれません。

またいろんな科目をちょこちょこ学習するのも、このインターリーブの学習法に役に立っているのかもしれません。

インターリーブの学習法・反復の学習法で、受験までの期間、大脳皮質にたくさんの情報を覚えさせてください。
 
 
AAA代表 諏訪たかあき