生徒に的確な解説をしたい塾の先生のための「センター試験2019 国語 大問1 評論文」解説

 
みなさん、こんにちは。

受験対策コンシェルジュの諏訪たかあきです。

 

今日は、2019年1月19日・20日に行われた

大学入試センター試験2019について書きます。

 

国語の大問1、評論文について、

・同日体験受験をした高2生にどう解説やアドバイスをすればよいか

・自己採点を終えた高3生にどう解説や今後の入試に向けたアドバイスをすればよいか

 

という観点から書いていきます。

 

問題を

https://www.toshin.com/center/

などでご覧になりながらこの記事を読んでください。

 

【本文編】

注:「○行目」は、各段落ごとの行数を表してます。

 

タイトル

評論文を読み始める前に、必ずタイトルに目を通しましょう。

タイトルに目を通すことで、読む文章のテーマ(主題)が判明することが多いからです。

今回は、「翻訳」がテーマであることがわかります。

「ああ、言語論か」と考えることができると、もっと良いかもしれませんね。

 

 

第1段落

・1行目「なので」

「なので」は因果関係を表す語句です。

因果関係は読解において非常に重要なので、目印として覚えさせてください。

{原因 なので 結果} という形をとります。

例:この塾は駅前なので、非常に便利だ。

 

・2行目「二つの対極的な考え方」

「二つの対極的な考え方」とありますので対比構造を予想します。

対比は読解において非常に重要な構造です。常に意識させてください。

この文では、「楽天的な気分」と「悲観的な気分」を対比しています。

楽天的な気分:翻訳は簡単なこと

悲観的な気分:翻訳なんてムリ

という対比です。

 

第2段落

・楽天的な考え方=翻訳は簡単だとする考え方について述べられています。

・3行目「さえ」

「さえ」には強調の役割があります。

強調をする語句は筆者からのメッセージを読み取る際に大変重要です。

ここでは、

「翻訳は簡単である。しかし、『品質には限界があるのだ。』」ということが強調されています。

今後の展開の伏線ともいえますね。

 

・4行目「確かに」

「確かに」の後には一般論や筆者の主張に対して予想される反論が述べられます。

そして、多くの場合、後に逆接を伴って筆者の主張が述べられます。

筆者の主張=要点、なので非常に重要な目印となります。

必ず覚えさせてください。

{確かに+「一般論」。しかし、「主張」。}という形です。

 

第3段落

・1行目「しかし」

逆接の接続詞です。

それまでの内容とは逆の内容が続きます。

ここでは、上述の通り、「確かに~。しかし~。」の形をとっています。

 

・1行目「言えるのだろうか」

反語表現です。「~であろうか、いや、ない。」というやつです。

ここでは、「本当は翻訳されているとは言えない。」という意味です。

 

・1行目「フランス語」と「渡辺一夫訳」

対比構造です。原語で読んだ場合と訳語で読んだ場合の対比です。

両者が同じ体験にはならない=翻訳したものはオリジナルと同じものではない

⇒翻訳は近似的なものでしかない(同じものを複製できるわけではない)

=原語版と訳語版には差異がある

ということです。

差異があることを認めていますので、「悲観的な考え方」に立っているといえます。

(筆者がそのように述べています。)

 

第4段落

・1行目「しかし」

逆接の接続詞です。

2回目の登場です。ということは、今後も頻出です。

ここでは、

「悲観的な翻訳観に向かわざるを得ない」しかし・・・

という形なので、楽観的な翻訳観について述べられるのではないかという予測を立てながら読んでいくことになります。

 

・2行目「ような」

「ような」は比喩表現をする際に用います。

比喩表現は「具体例」を提示する際に使われます。

具体例と抽象的な表現(=まとめ)の行き来を意識することは読解するうえで非常に重要です。

必ず覚えさせてください。

 

・3行目「という」

「という」は物事を説明する際に用います。

○○(用語)という△△。  例:国語という科目

ここでは、

翻訳を試みる=奇跡を目指すこと

と定義されています。

 

翻訳=奇跡

翻訳家=翻訳する人=奇跡の実現を目指している人=翻訳という奇跡は実現可能だと信じている楽天家

 

 

第5段落

・1行目「例」、2行目「例えば」

「具体例」を提示する際に用います。

ここでは、翻訳が不可能である例が書かれています。

 

具体例は、文章全体の説明を理解するのには重要ですが

主旨には含まれません。

軽く読み飛ばした方がよい場合も多いです。

ここでは、第5・第6段落は軽く読み飛ばしたほうが良いです。

「時間が足りない」と言われやすいセンター試験国語では、

こうした時短のための指導が極めて有効です。

 

第7段落

 

・2行目「二つある」

個数が示されている場合、などの「列挙」には必ず注目させてください。

第7段落で一つ目の戦略、第8段落で二つ目の戦略が説明されています。

 

一つ目の戦略:直訳+注⇒興覚め。評判が悪い。

 

第8段落

・二つ目の戦略:「言い換え」について。

 

・1行目「言い換え」

「」でセリフや書籍のタイトル以外を囲っている場合があります。

これは一種の「強調」です。

つまり、文章のキーワードがわかるということです。

 

・1行目「つまり」

「つまり」の後には本文の読解に際して重要な部分が来ます。

必ず注目させてください。

 

・2行目「肝心」

筆者自ら「肝心」「重要」「本質」などと述べている部分は、当然ながら重要です。

当たり前のことですが、見落とされがちでもあります。

 

・6行目「例えば」

具体例の提示です。(上述)

 

第9段落

・4行目「だが」

逆接を示します。

直前と直後では逆の内容が来ます。

例:8月になった。だが、暑くない。

 

・5行目「これ」

本文中に代名詞がある場合、具体化する癖をつけてあげてください。

特に、傍線部中の代名詞は絶対です。

ここでは、「これ」=「上手に言い換えること」です。

 

第10段落

・「引用」

自分の主張に沿っている他の著者の表現を引用することで

自らの主張の説得力を増そうとします。

 

ここでは、「自己引用」ということで、自身の体験を具体例としています。

 

第12段落

・「過ぎた」

「○○過ぎる」というのは否定的な表現です。

例:宿題が多すぎる=多すぎてイヤ

 

・8行目「いいものと悪いもの」

対比構造です。

 

純真すぎた、という否定的な表現の対象となっている

『私はあなたを愛しているわ。』は悪いもの(悪い翻訳)であると

読み取ることができます。

 

・9行目「ような」

上述。

 

第13段落

・3行目「まるで~みたい」

「まるで~みたい」は比喩表現をする際に用います。

比喩表現は「具体例」を提示する際に使われます。

具体例と抽象的な表現(=まとめ)の行き来を意識することは読解するうえで非常に重要です。

 

・2行目「こなれている訳」⇔5行目「四角四面に訳す」

この2つが対比構造をなしていることに注目させましょう。

 

第14段落

・1行目「全然違う」、2行目「前者」「後者」

これらは対比構造を示す表現です。

必ず注目させてください。

 

・4行目「~かも知れない・・・しかし○○」

{「一般論」かもしれない。しかし「主張」}

これは、上述の

{確かに+「一般論」。しかし、「主張」。}という形に似ています。

 

・4行目「だから」

{原因 「だから」 結果}

{結果 それは、 原因「だから」。}

という形をとります。

 

・5行目「という」

上述。

 

第15段落

・1行目「確かに」+2行目「しかし」

上述。

 

・2行目「しかし」

上述。

 

・3行目「から」

{原因 から 結果}

例:風邪をひいたから病院に行った。

 

・4行目「しまう」

「○○してしまう」は否定的な表現です。

 

【設問編】

本文編の内容を踏まえて、設問についてみていきましょう。

 

問1

漢字は知識なので、解説することはありません。

普段から、

・漢字の読み

・漢字の書きとり(センター試験では使わなくても、他の場面で使います)

・漢字の(+熟語の)意味

を覚えさせてください。

 

問2

第4段落全体を要約します。

「楽天家」=翻訳、つまり「文化的背景が異なる中で、Aという言語で書かれた作品をBという言語に翻訳して、それが理解できるものであるという奇跡」が実現できると信じ、それを職業にしている翻訳家

という内容を読み取ります。

 

そして、それに該当する選択肢を選びます。

4です。

 

問3

「これ」=近似的な「言い換え」をすることで自然でこなれている訳をすること

 

該当する選択肢は2です。

 

問4

第14段落の内容をまとめます。

正しいか、正しくないか=正確な翻訳とはなにか=言語哲学の問題

 

前者(近似的な言い換え)のほうが自然な表現だが、

後者(四角四面的な訳。直訳)も正しくないとはいえない。

 

つまり、この言語哲学の問題には答えが出ていません。

 

選択肢2には、

「どういうことか、どうあるべきか」

「問い」

「容易に解決しがたい」

とあります。

これが正解になります。

 

問5

選択肢2

「翻訳の仕事の基本」=時代や文化の違いをなるべく意識させずに読者に理解させること

これは本文で言及されていません。

よって、本文の趣旨とは異なります。

 

問6

(ⅰ)

選択肢4

 

「純真過ぎた」は否定的な表現です。

「下手な翻訳を、それが下手なものだと気づかずに読んでいた」否定的な思い出話として話していることが読み取れます。

「至福の」読書体験という表現も、皮肉っている表現と解釈できます。

(無知=幸福、至福 という皮肉は様々なところで登場します。)

 

つまり、昔を懐かしむ感情ではありません。

よって、4が不適当なものです。

 

(ⅱ)

選択肢1:指示する立場を一方に確定させていません。

選択肢3:翻訳家になるきっかけは紹介されていません。

選択肢4:筆者の考える正しさは明言されていません。

 

よって、選択肢2が正解です。

 

 

以上で、

センター試験2019 国語 大問1 評論文の解説を終わります。

 

 

受験対策コンシェルジュ

諏訪たかあき